花の香りを連想させる詩①
アロマテラピーの世界の問題を云々するよりも、花の香りを詩の世界で嗅ぎたくなった。
9世紀晩唐の詩人、杜牧(とぼく)の詩からはじめよう。
清明時節 雨紛紛(せいめいのじせつ あめふんぷん)
路上行人 欲断魂(ろじょうのこうじん こんをたたんとす)
借問酒家 何処有(しゃもんす しゅかいずこにかある)
牧童遥指 杏花村(ぼくどうはるかにさす きょうかのそん)
《通釈》
清明(四月)の頃に、雨はしとしと降る
旅路を行く私はひとり、春の愁いに耐えられぬ思いに包まれる
なあ、聞くが、酒屋はどこにあるのかい
そう家畜を追う少年に尋ねると、少年は黙ったまま、
遥か遠くの杏の花に包まれた村を指した
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(高山)
人生の行路を、ひとりそぼ降る雨のもとを歩む私も、杏の花の香りに包まれながら、一杯やりたくなっちゃった。
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