シナモン(Cinnamomum zeylanicum、またはC. verum、Laurus cinnamomum)油
このクスノキ科の木本の樹皮または葉を蒸留して抽出した精油。
産地は、スリランカ、インド、インドネシアなど。
・主要成分(%で示す)
シナモン皮 シナモン葉
α-ピネン 0.2〜0.6 0.2〜1.0
β-シメン 0.6〜1.2 0.9〜1.2
シンナムアルデヒド 74〜75 1.3〜2.0
オイゲノール 0.8 70〜96
シンナミルアセテート 5.0 0.8〜1.7
カリオフィレン 1.4〜3.3 1.9〜5.8
ベンジルベンゾエート 0.7〜1.0 2.7〜3.5
シナモン皮油と葉油とでは、とくにシンナムアルデヒド、オイゲノールとの両含有成分において大差があるため、一方の代りに他方を用いることはできない。皮油は主成分としてシンナムアルデヒドを含むが、葉油のほうはオイゲノールを主要な成分とするために、クローブ花芽油に類似しているといえる。
・偽和の問題
シナモン皮油は、シナモン葉油、カネラ皮油、クローブ葉油、合成オイゲノール、合成シンナムアルデヒドなどを加えてカットする(伸ばす、すなわち増量する)ことがよく行われている(カネラは西インド諸島産のシナモンに似たクスノキ科の木。その樹皮は白桂皮と称され、香味料・薬剤として利用される)。
カシア油(Cinnamomum cassia)(中国シナモン油ともいう)を、シナモン皮油と偽って売る業者も多い。シナモン葉油は、クローブ葉油、ベイリーフ油、合成オイゲノールを混合してつくったニセモノを販売する人間も少なからずいるので、くれぐれも要注意。ひどいのになると、燃料用油、ケロシン、石油などを増量剤としてたっぷり加えて「ホンモノでござい」といって売りつける悪人も少なくない。
・毒性
LD50値
シナモン葉油 ラットで2.7g/kg(経口)、ウサギで5g/kg(経皮)
シナモン皮油 ラットで3.4g/kg(経口)、ウサギで0.7g/kg(経皮)
刺激性は、ヒトで10%濃度で反応はゼロ。
シナモン葉油をヒトで10%濃度で試験した際には、刺激性はみられなかった。しかし、皮油では被験者の80%に感作が見られた。
光毒性は観察されていない。
・作用(もちろんホンモノでなければ、下記の効果は期待できない)
シナモン葉油には、かるい痙攣惹起作用がある。
抗菌作用は皮油・葉油とも強力。
抗真菌作用も、皮油・葉油とも強力。
葉油は酸化防止作用が著明。
シナモン皮油および葉油は長らく歯科治療で使われてきた。また、練り歯磨きにこれを加えると殺菌作用を発揮する。また皮油・葉油とも内用して、その駆風作用と下痢治療作用とが活用されてきた(アルコール飲料に10%濃度で加えて内用したり、沸騰させた湯に同程度の濃度で入れて飲用する)。
葉油は痛風・リウマチの痛みを緩和するのに外用して有効。
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