以前から予定していた、ジャン・バルネ博士についての記事は、次回にまわさせていただきます。
可能であれば、バルネ博士がインドシナ戦争に従軍して負傷兵の治療にあたっている際の日本初公開の写真も載せたいと考えています。
高山 林太郎
ネロリ(Citrus aurantium ssp. amara 、別名 C. bigaradia)油
原産地はインド。ただし現在の主要産地は、イタリア、フランス、モロッコ、チュニジアなど。
抽出方法はビガラディアオレンジ(C. bigaradia)の花を蒸留して抽出。
・主要成分(%で示す)
リナロール 23.8
リナリルアセテート 68.5
ゲラニオール 5.9
リモネン 痕跡量
以上はもとよりいちおうの目安であることは、いうまでもない。市場に出まわっているもののほとんどは合成成分をテンコ盛りしたニセモノと考えてよい。こうしたニセモノ精油はホンモノの、つまりピュアなネロリ油とは成分がおよそ異なっている。リナリルアセテート(もちろん合成品だ)だけしか入っていない、ひどい「ネロリ油」もたくさん売られている。こんなことをする悪人どもは、ガラスをダイヤと偽って販売する奴らと完全に同罪だ。つまり詐欺師だということである。こんな連中が逮捕されないのは、警察・検察関係者がこの方面の知識を学ぼうとしない、税金泥棒の集団だからである。ひどい冤罪(えんざい)はさんざんデッチあげるくせにね。
・偽和の問題
ホンモノのネロリ油は値が張るので、上述のようにニセモノで市場は占拠されているといってさしつかえない。むかし、この精油を愛してやまなかったイタリアのネロラ公国のアンナ=マリア公妃がもし現代の「ネロリ」油を嗅いだら、鼻をつまんで逃げ出すだろう。
プチグレン油をネロリ油と詐称して売る奴らも多い。プチグレン油のテルペノイド類を抽出し、そこにビターオレンジエッセンス、合成リナロール、合成リナリルアセテート、合成ネロール、合成ネロリドール、合成フェニルエチルアルコール、合成デカノール、合成ノナナール、合成イソジャスモンなどをまぜて平然として売っている悪党はザラだ。誰も取り締まらないからね。
・毒性
LD50値
ラットで4.5g/kg(経口)
ウサギで>5g/kg(経皮)
刺激性・感作性
ヒトにおいて4%濃度で、これらはいずれも認められなかった。
マウス、ブタにおいても刺激性はみられなかった。
光毒性
なし。
・作用
抗菌効果 ネロリ油は、ホンモノだったらフェノール(石炭酸)の5.5倍もの殺菌力がある。殺菌作用のスペクトラムも広い。
抗真菌効果 かなり強力。ことに植物を病気にする真菌に対する効果にはみるべきものがある。
その他 ネロリ油はジヒドロストレプトマイシン(抗生物質)と併用すると、人為的に結核を発症させたモルモットに若干の治癒力を発揮した。大したこともない研究結果だが、いちおうご報告しておこう。
0 件のコメント:
コメントを投稿