学名 Aniba rosaeodora var.amazonica Ducke.
Aniba parviflora Mez.
Ocotea caudate Mez.
南米の熱帯地方ガイアナ、ブラジル、ペルーなどに生育するクスノキ科の常緑高木、樹高30~40mになる。このローズウッドは南米ガイアナ、アマゾン川流域の低地の熱帯雨林にとくに広く分布する。
この木材には、リナロールが多量に含まれ、バラを思わせるその香りからrosewoodの名がつけられた。
香料業界ではこの木はもっぱらそのフランス語のbois de rose(ボア・ド・ローズ)の名で呼ばれ、かなり以前からこの材から採れる精油が香水などの原料に使用されてきた。
アロマテラピーにこの精油が用いられるようになったのは、比較的近年になってからである。
精油の抽出
ローズウッドの原木をチップ状にしたり、オガクズのように細かく砕いたりして、それを水蒸気蒸留して精油を得る。
主要成分(%で示す)
リナロール | 85.3-94 |
1,8‐シネオール | 0-1.6 |
リモネン | 0.6 |
シス‐リナロールオキシド | 0-1.5 |
トランス‐リナロールオキシド | 0-1.3 |
テルピネン‐4‐オール | 0.4 |
α‐テルピネオール | 3.5 |
偽和の問題
ローズウッドは、現在、ワシントン条約で商取引が禁じられている絶滅危惧種の植物の一つなので、まともなルートでは本物のローズウッド油はまず入手できない。そこで、合成リナロール、合成リナリルアセテートそのほかの成分で偽造した「ローズウッド油」が横行することになる。
ローズウッドは生長するのに時間がかかるので、その木を切り倒したら、かならずローズウッドの苗木を1本植えることがブラジルで義務づけられたりしたが、これで自然破壊を食い止めることは無理である。そこで、ローズウッドの葉を採取して、その木材に代用しようという提案も行われた。
しかし、葉と材とでは含有成分が異なるので、これも却下された。そこで成分がかなり似ている芳樟(Cinnamomum camphora)の精油がローズウッド油に代えて利用されることが、近年とみに多くなっている(本ブログの「芳樟油(30)」を参照されたい)。以下参照
http://rintarotakayama.blogspot.jp/2014/09/blog-post_30.html
ローズウッド油は、それに代わるもっと安い精油は複数あるので、それらの活用をおすすめしたい。
毒性の問題
・LD50値
>5g/kg(経口)ラットにおいて
>5g/kg(経皮)ウサギにおいて
・刺激性・感作性
ローズウッド油をヒトの皮膚で、12%濃度で適用したが、いずれも認められなかった。
・光毒性
これまでに報告された例はない。
作用
・薬理学的作用
モルモットの回腸で(in vitroで)、鎮痙作用がみられた。
・抗菌作用
細菌の種類にもよるが、総じてきわめて強力である。
・抗真菌作用
試験に供した真菌の種類によって、強弱さまざまな力を示すので、一概にはいえない(弱ないし中程度というところだろう)。
・その他の作用
ローズウッド油には、抗酸化作用は、まず期待することはできない。この精油は、ヒトの皮膚にも粘膜にもきわめて穏和である。
付記
Aniba属には、40種以上ある。Aniba terminalisからもA. rosaeodoraと似た精油がとれる。また、A. canelillaの樹皮にはシナモンと同様の芳香があって、ペルーではこれを茶として利用しているそうである。こんど、折があったら日本緑茶センター株式会社の北島社長にこれについてご教授を仰ごうと思っている。
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