ジュニパー(Juniperus communis)油
ヒノキ科の低木で、成熟(2〜3年で実をつけるまでに成熟)すると、甘い液果を実らせるジュニパー。乾燥させて細かく砕いたこの液果を、水蒸気蒸留してこの精油を抽出する。液果を発酵させて抽出した成分は、ジン・ブランデーに添加される。本来は、これらは熱病になどに用いる薬用酒であった。
和名は、セイヨウネズ。木部からも精油を抽出するが、これはたいていより高価な液果油の増量のために利用される。
原産地
ハンガリーをはじめとするヨーロッパ諸国
・主要成分(%で示す)
α-ピネン 33〜71
サビネン 0.3〜27
ミルセン 5〜18
リモネン 2〜9
γ-テルピネン 0.3〜3.7
テルピネン-4-オール 4〜10
・偽和の問題
ジュニパー油(厳密にはジュニパー液果油)の真正品は、めったに売っていない。たいていは、合成したピネン、カンフェン、ミルセン、それにターペンタイン油の留分などが加えられたしろものだ。上述したジュニパー木部油、またジュニパーの小枝から水蒸気蒸留抽出した精油も、この偽和(増量)の目的で用いる。あなたのお手持ちのジュニパー油は、失礼ながらまずまちがいなくこの手の品である。
・毒性
LD50値
ラットで8g/kg(経口)、ウサギで>5g/kg(経皮)
刺激性・感作性 ヒトにおいて8%濃度で、これらは認められなかった。100%濃度で、20人を対象にして行ったテスト(24時間にわたって実施)でも、刺激性が発現したものは、そのうちの2名にとどまった。
光毒性 認められない。
・作用
薬理学的作用 ジュニパー液果油の場合、若干の痙攣惹起効果がみられた。
抗菌作用 報告されていない。これに殺菌作用があるなどという人間のコトバを信じてはいけない。
抗真菌作用 真菌の種類を問わず、あまり強くない。
利尿作用 腎臓の所に適度に稀釈して塗布するとよいが、腎臓に疾患のある人間には禁忌。
そのほか特筆すべき作用・効果は、報告されていない。
ジュニパー油は駆風作用があり、鼓腸・疝痛の際に用いると効果的。痔疾にも、この精油をぬるま油に数滴落として肛門と患部周辺を洗うと良い。浸出性湿疹にも有効である。
また、これはハーブ療法に属することだが、ハーブティー用に市販されているジュニパーの乾燥果を乳鉢などで5〜6粒、すりつぶして、水で飲みこむと、血糖値がドラスティックに下がったケースが日本であった。1日に3〜4回このジュニパー液果粉末を服用するとよい。その患者のかかりつけの医師が驚いたそうである。
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