症状 ー 怖気(おじけ)、人前であがること
(俳優の)舞台負け、実力の発揮の不能など
人間は、人にもよるが、実力はちゃんとあるのに、人の前では何かのパフォーマンスをしようとするとき、「あがって」しまい、心身が思うように働かなくなってしまうことが(うまく口がきけなくなることを含めて)ある。受験生などがこれに襲われると、落ち着いて試験問題に取り組めず、普段の学力が発揮できなくなり、その結果、試験に落ちてしまうことがある。入社試験などでも、同じことがいえる。
これもストレスの一種であろうが、これによって他の疾病が通常、随伴的に惹起されるほどのものではない。しかし、この「症状」に襲われた当人にとっては、これはことと次第によっては人生が左右されてしまう大問題ともなる。
これは日本人に特に多く見られるものと思っていたが、芝居っ気たっぷりのフランス人にもやっぱりあることを知った。私が若い頃、フランスのコメディー・フランセーズ(1680年ルイ14世の命で建設されたフランスでもっとも古い国立劇場)の所属俳優学校を出たばかりの男性俳優の一人が、私たちの前でヴェルレーヌだったか、ボードレールだったか忘れたが、そうした詩人の名詩を朗読した。ところがやっぱり「あがって」しまったのだろう。朗々と詩を詠んでいた彼がハタと口をつぐんでしまった。前の席にいた私が低い声で、その俳優にその詩句を教えると、彼はホッとした顔で無事にその詩を詠じ終えた。そして、私にチラッと感謝の視線を投げた。これは自慢でも何でもない。私だって人前で「あがって」しまって、妙なことを口走った経験は何度もある。しかも肝心なときに。
私はオペラ歌手と話したこともある。その歌手が言うには、ヴェルディーとかプッチーニとかといった作曲家による歌いなれた歌劇ではどうということもないが、新しい歌劇、それも稽古量が少ないもの、とくにそれを自覚しているときに何度も失敗したものだ、神様は意地悪な方さ、と笑って言っていた。
○今回のレシピ
使用する精油は以下のとおり。
Laurus nobilis(ローレル、ローリエ、ゲッケイジュ)油
Lavandula angustifolia(真正ラベンダー)油
Mentha pipertia(ペパーミント)油
Ocimum basilicum(バジル)油
これらの精油をホホバ油のキャリヤーに5〜6%濃度に稀釈して、腎臓の上に1日に3〜4回すりこむ。おわかりかと思うが、念のために申し上げる。下腹に両手の親指をあてて手のひらを背中にあてる。その手のひらのところが腎臓の部位である。これにより、標記の「症状」(医学的な意味とは少し違うが)が好転すれば、これにこしたことはない。「症状」が好転したと思ったら、塗布はやめる。
このブレンドに用いる精油について
ローレル油
活性成分として ー
モノテルペン類:α-ピネン(4〜6%)、β-ピネン(3〜5%)他
モノテルペノール類:リナロール(8〜16%)、α-テルピネオール他
テルペンエステル類:テルピニルアセテート(2.5〜6.5%)他
フェノール類:オイゲノール(3%)
フェノールメチルエーテル類:オイゲノールメチルエーテル(2.5〜7.5%)
オキシド類:1,8-シネオール(35〜45%)
セスキテルペンラクトン類(3%)
特性として ー
交感神経と副交感神経の平衡回復
強力な鎮痙、冠状動脈拡張
強力な鎮痛の各作用
真正ラベンダー油
活性成分として ー
エステル類(非テルペンおよびテルペン):リナリルアセテート(42〜52%)他
アルコール類(非テルペンおよびテルペン):リナロール(32〜42%)、テルピネン-1-オール-4(2.8〜3.6%)他
ケトン類(非テルペンおよびテルペン):1-オクテン-3-オン(1.3%)他
特性として ー
強力な鎮痛、神経鎮静、筋肉弛緩、血圧低下、他
強壮、強心
血流のスムーズ化
指示 ー
神経症、不眠症、苦悶(強力な作用がある)、痙攣、頻脈、やけど、血液の凝固性過多
禁忌 ー
生理学的用量においては、特にない。
ペパーミント油
活性成分として ー
モノテルペン類(2.5〜18%):α-ピネン(2%)、β-ピネン(4%)、リモネン(2.3%)他
モノテルペノール類:メントール(38〜48%)
モノテルペノン類:メントン(20〜60%)、イソメントン、ネオメントン、プレゴン、他
テルペンオキシド類:1,8-シネオール(5.75%)他
テルペンエステル類:メンチルアセテート(2.8〜10%)他
特性として ー
神経強壮(およびその平衡回復)
指示 ー
自律神経ジストニー、無力症、頭痛
バジル油
活性成分として ー
テルペンアルコール類:リナロール(0.6〜3.45%)、シトロネロール(0.3%)他
フェノールメチルエーテル類(およそ90%):カビコールメチルエーテル(85〜88%)、オイゲノールメチルエーテル(1.6%)他
オキシド類(<3%):1,8-シネオール(2.2%)他
特性として ー
強力な鎮痙、延髄および交感神経の調整作用(きわめて強力)
鎮痛(強力)、血管内のうっ血除去
指示 ー
神経症、不安症(強力)、一部の抑うつ症、無力症
禁忌 ー
生理学的用量においては、知られていない。
付記:
現在、何かほかの疾患で病院・医院等を受診し、処方薬を服用している場合には、かならず、かかりつけの医師にこのブレンド精油の使用の可否を相談すること。
また、
あてに注文した精油をかならず用いること。それ以外の精油を使用した場合には、効果はないものと思って頂きたい。
これは、あくまで自己責任において自己治療するものであることを心に刻んでほしい。
「精油のシナジー効果」については、前回挙げたレシピ(1)の説明をじっくり参照されたい。
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