フェンネル油
フェンネルは、セリ科ウイキョウ属の1年草あるいは多年草。私にはさして魅力的とは思えないその散形花には、開花期には昆虫がたくさん集まる。
ヨーロッパからアジアにかけて数種が分布する。
学名① Foeniculum vulgare var. amara Miller
英名はBitter fennel(ビターフェンネル)、日本ではフェンネル、茴香(ウイキョウ。これは、中国語の茴香〔フイシャン〕に由来し、鮮度の落ちた魚類を用いた料理で、この実を香味料にすると、その香りを回〔かえ〕す、すなわちフレッシュなよい香りに戻すとの意味をあらわす)と称される。
草高1〜2メートルになる大型草本。中国には4〜5世紀に西城から伝来し、日本には9世紀前に中国から渡来した。フェンネルは古代ギリシャではマラトン(Marathon)と呼ばれた。これはマラソン競技が行われた土地が、これの群生地だったことによる。それはどうでもいいが。中世以来、ヨーロッパではフランス、イタリア、ロシアなどの料理にこの実が香味料としてひろく利用されるようになった。
インドでも香味料として古来から使用された。
中国では、腹部・胸部の鎮痛剤としても用いられている。
日本では、長野・岩手・富山の各県で栽培される。
学名② Foeniculum vulgare var. dulce Miller
英名はSweet fennel(スイートフェンネル)、Florence fennel(フローレンスフェンネル)、日本ではイタリアウイキョウ、アマウイキョウと称される。
このウイキョウは、①のビターフェンネル同様に、その実が香味料としても使われるが、それよりもウドのように軟白栽培して、野菜としてその群生葉の基部(直径10cmくらいになる)を煮て食べる。これがうまいんだな。
ビター、スウィートの両種とも、その実を採取して水蒸気蒸留して精油を抽出する。
現在、スペイン・東欧諸国で多く栽培されている。
・主要成分(%で示す。ビター・スウィート両種をひっくるめたおおよそのパーセンテージである)
トランス-アネトール 30〜75
シス-アネトール 0〜0.3
フェンコン 10〜25
メチルカビコール 1〜5
リモネン 1〜55
α-ピネン 1.5〜55
・偽和の問題
アロマテラピーで、というよりも、香料工業において重要視されるのは、スウィートフェンネル油のほうである。そこで、ビターフェンネル油でこれが偽和されることは往々ある。そしてまた、いずれも安あがりに合成したトランス-アネトール、フェンコン、メチルカビコール、リモネンなども偽和のために大いに利用される。そのほか、フェンネルの近縁のセリ科植物の実を蒸留した各種留分も、増量のために使われる。
・毒性
LD50値
ビターフェンネル油:
ラットで4.5g/kg(経口)
ウサギで>5g/kg(経皮)
スウィートフェンネル油:
ラットで3.8g/kg(経口)
ウサギで>5g/kg(経皮)
刺激性・感作性
ビター・スウィートの両種で、ヒトにおいて4%濃度でこれらは一切認められなかった。しかし、スウィートフェンネルを未稀釈でマウスの皮膚に適用したところ、激烈な反応を呈し、ウサギの皮膚でテストしたところ、相当な反応が見られた。
アネトールは一般にアレルギーを惹起する作用を示し、有毒成分の一つに数えられる。
光毒性
認められない。
・作用
薬理作用 スウィートフェンネル油は、モルモットの回腸で、in vitroで強烈な鎮痙惹起作用をあらわし、ついで鎮痙作用を示した。
フェンネル油は、エストロゲン様作用(女性の発情性ホルモン的な働き)を示すとされる。これが、女性のバストを大きくするか、また泌乳量を増加させるかは目下、研究中。
ハーブとしてのフェンネルを摂取させた家畜にも、そうした作用のせいで繁殖上の問題を生じたというケースがいくつも報告されている。なお、妊娠中の女性のこの精油の摂取を禁忌とする学者もいる。
抗菌効果 あまり強力とはいえない。あることはあるといった程度。
抗真菌効果 かなり強力。
駆風作用 とくに小児において顕著とされる。しかし、私はこれを摂取した子供がブウブウ放屁するのに接した記憶はいまのところない。
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