カユプテ(カヤプテ、カジュプトなどとも呼ばれる)
このフトモモ科の常緑高木には種類がいくつかあり、それぞれ学名が異なる。
Melaleuca leucadendra, M. cajuputii, M. linariifoliaなど。この木の小枝・新鮮な葉を蒸留したものが、カユプテ油である。
原産地はインド、ベトナム、インドネシア付近と考えられている。
・主要成分(%で示す)
1,8-シネオール 14〜69%
α-ピネン 8.0%
β-ピネン 1.1%
リモネン 痕跡量
リナロール 3.5%
・この精油の偽和の問題
「カユプテ油」というラベルが貼ってある精油びんを見ても、すぐ信じてはいけない(何事も無批判に信じるものは救われない)。
カユプテ油だと称して、もっとずっと安価に手に入るユーカリ(Eucalyptus globulus)油を売るものも多くおり、またユーカリ油をベースにして、ここに少量の合成したテルピニルアセテート、テルピニルプロピオネート、各種テルピネオールエステルを混入させたニセものを販売する輩(やから)もいる。よくよく注意して頂きたい。
同じフトモモ科の木の葉からとるニアウリ(Melaleuca quinquenervia)油は、このカユプテ油ときわめてよく似た成分構成をもつが、値段はほぼ同じである(しかし、ニアウリ油には、シネオールケモタイプとネロリドールケモタイプとがあり、両者には成分の差、したがってその特性の差があることをお忘れなく)。
・毒性
ラットだとLD50値は4g/kg(経口)、ウサギの場合、>5g/kg(経皮)
刺激性/感作性は、ヒトの皮膚に濃度4%で適用したが、これらはいずれも認められなかった。
光毒性は、いっさいない。
・効果
ー 弱い鎮痙作用 モルモットの回腸で、弱い鎮痙作用を示した。
ー 抗菌作用 ひろいスペクトラムの抗菌作用がある。直接皮膚につければもちろんのこと、これを室内などに蒸散させても、空気中の細菌を殺す、かなり強力な力を示す。
ー 抗真菌作用 真菌の種類にもよるが、多かれ少なかれ真菌の増殖を抑制したり、殺したりする作用がある。
ー 抗酸化作用 ないといってよい。
カユプテ油は、内用すると(0.05ml〜0.2ml)駆風作用を発揮する。つまり腸内にたまったガスを屁として出してくれる。また、この精油を外用すると、穏和な発赤作用を示す。この効果があることから、カユプテ油は、打ち傷や捻挫や擦過傷(すり傷)などのためのいろいろな塗布剤によく配合されている。「発赤(ほっせき)」というのは、血液が特定の部分の皮膚の下に集中することで、これによって傷害の治癒が促進されるわけである。
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