2014年3月27日木曜日

サンダルウッド | 精油類を買うときには注意して!⑧

サンダルウッド(Santalum album)油
 
サンダルウッド油の名産地は、なんといってもインドのマイソールだが、長年の乱伐のせいで絶滅が危惧され、現在、まともな商業的なルートあるいは手段では、同産地のサンダルウッドは手に入れることができない。インド政府が原木をすべて管理している。そこで、いま売られているものは、万一本物だったら盗伐した原木から採油したサンダルウッドと思ってまずまちがいない。渇しても盗泉の水は飲まないようにしてほしい。ウェストインディアンサンダルウッド油などという詐欺的な名称〔これでは西部インド産のサンダルウッドと詐称しているのも同然だ〕で販売されているものはアミリス油(Amyris balsamifera)に、そのほか各種のサンダルウッドとはカンケイない精油をまぜこみ、ごていねいに下剤に使われるヒマシ油まで加えたしろもので、つくづく人間の倫理的退廃を痛感させられる商品だ。アミリス油などは、それなりにちゃんとした効果を示す精油なのに、なぜその効用を堂々とうたって売ろうとしないのか。
オーストラリアンサンダルウッド油(Fusanus spicatus, 別名 Eucarya spicata)油というニセものもでまわっていたが、これまでも乱伐のせいで入手できなくなってしまった。こうした事情は前にお話ししたとおりである。
 
「サンダルウッドについて」2013年7月22日
 
現在「サンダルウッド油」として市販されているものは、上述したようにアミリス油にアラウカリア油、シダーウッド油、コパイパ油などを混合し、さらに液体パラフィン、グリセリルアセテート、ジエチルフタレート、ベンジルベンゾエート、ベンジルアルコール、ジプロピルアルコールのような無香無臭の有機溶剤を加えたしろもの。私は怒りを通りこして、ただもう暗澹(あんたん)とするばかりだ。これが、人体に有害なことはいうまでもない。こんなニセものを対象にして研究など行ってもぜんぜん無意味である。本物のサンダルウッド油の構成成分は、以前、載せたので、ここでは省く。まあ、「サンダルウッド油」は買わないことですね。インドネシア産だって、中国・雲南産だってさして効果など期待できまい。
 
・毒性 LD50値(もちろん本ものの場合)
 >5g/kg(経口)、これはラットで実験した例
 >5g/kg(経皮)、これはウサギで実験した例
 刺激性・感作性は、ヒトで10%濃度で皮膚に適用しても、まったく認められなかった。光毒性はゼロと考えてよい。
 
 
・効果
 鎮痙作用。モルモットの回腸での実験による。
 殺菌作用。この精油を蒸散させても有効。
 鎮静作用がこれにあることは、CNVの波形でわかる。 
 
 1910年、ドイツのP. エールリッヒと日本人、秦 佐八郎(はた・さはちろう)とが合成したアルセノベンゼンの誘導体で、合成試験番号にちなんで六〇六号とも呼ばれた有名な梅毒治療剤サルバルサンには、サンダルウッド油を含有させてある。インドでは古くから、サンダルウッドを梅毒・淋病などの性尿路系の疾患の治癒の目的で用いてきたことは知る人ぞ知るところだ。 

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