パイン(スコッチ)(Pinus sylvestris)油
スコッチパイン(マツ)の針葉・球果を蒸留して抽出する。
原産地は、北欧、シベリア、スカンジナビア。現在ではもっぱらスコットランド、ノルウェイで採油される。
スコッチパインはマツ科の大きな針葉樹。80種にのぼる種類がある。赤みがかった樹皮、灰緑色の針葉が特徴。
・主要成分
α-ピネン
β-ピネン
リモネン
ボルネオール
ボルニルアセテート
γ-カレン
いずれも、原木の産地・種類により大幅な変動があるため、一概に数値表示できない。
・偽和の問題
他の木々に由来した(あるいは合成した)カンフェン、ピネン類、イソボルニルアセテートなどが、偽和・増量の目的で利用される。ダニエル・ペノエル博士らによると、近年では発ガン性のある溶剤で、これをアブソリュートとして抽出するにいたっており、そのことによる労働者への健康被害が多発している。
・毒性
LD50値
ラットで>5g/kg(経口)
ウサギで>5g/kg(経皮)
刺激性・感作性
ヒトにおいて20%濃度で、これらはいずれも認められなかった。
光毒性
なし。
・作用
特筆すべき薬理学的効果は報告されていないが、いちおうあげておく。
抗菌効果
細菌類の5分の4はこれによって多かれ少なかれ影響をうける。しかし、パイン油以外の精油類と併用して、その効果が増大することがわかっている。パイン油類は結核菌には、別段影響を及ぼさない。マツ林の空気が肺結核に有効だというのは、医学的な根拠のないデタラメである。
ただ、この精油を、週に1回ずつ、結核を人為的に発症させたモルモットに投与したところ(オリーブ油に2%濃度に稀釈して筋肉注射)、治療効果が認められた。
抗真菌効果
各種の真菌に一定の効果がある。ただし、病原性真菌類にたいする効果は弱く、期待できないといったほうがよい。
0 件のコメント:
コメントを投稿