2014年1月6日月曜日
精油の化学⑨ エーテル類
2013年12月24日火曜日
カモミールローマン・カモミールジャーマン| 精油を買うときには注意して!③
2013年12月17日火曜日
精油の化学⑧ エステル類
◎エステル類
・効果① ー 抗痙攣作用
② ー 鎮静作用
③ ー 強壮作用
④ ー 神経平衡回復作用
⑤ ー 不整脈正常化作用
◎特徴
精油類のなかに存在する各種のエステルは、その精油中のアルコール類の量にそれぞれ規則的に対応した分量で含有されている。ここに注意すること。
◎エステル類が豊富な精油(エッセンス)類
ローマンカモミール(Chamaemelum nobile)油
ビターオレンジ(別名ビガラディアオレンジ)(Citrus aurantium ssp. amara)エッセンス
ミカン科のこのオレンジの果皮を圧搾(熱を加えない冷搾法で)して抽出したエッセンス。各種のエステルを含んでいる。
ヘリクリスム(Helichrysum italicum serotinum)油
キク科のこの草本の花の咲いた先端部分を蒸留してとる精油(アブソリュートを抽出することもある)。この精油はエステル分としてネリルアセテートを75%も含有する。ネリルブチレートも含む。
真正ラベンダー(Lavandula angustifolia)油
少なくとも40%、最高で60%ものリナリルアセテートを含む。
ヨーロッパのAFNOR規格(日本のJAS規格とJIS規格をあわせたようなもの)ではこのリナリルアセテート分が少ないと、ラバンジン油とみなされてしまう。
日本の秋田県で試験的に植えた真正ラベンダーでも60%ものリナリルアセテートを含んでいた例が報告されている。
ラバンジン(Lavandula hybrida)油
真正ラベンダー(L. angustifolia)とスパイクラベンダー(L. spica, L. latifolia)との属間交雑種で、2代めができないラベンダーの一種であるため、すべて挿し木で畑に植える。現在、フランスでは真正ラベンダーは10%ぐらいしか栽培されておらず、それよりずっと育てやすく、収油率もはるかに高いラバンジンが90%も植えられており、真正ラベンダー油の生産量は以前にくらべて、大幅に少なくなってしまった(現在、真正ラベンダーがもっとも多く植栽され、その精油の生産量も世界一なのは、ブルガリアである)。ラバンジンも何種類かあり、リナリルアセテート、ボルニルアセテート、ラバンズリルアセテート、ゲラニルアセテート(それぞれの量はシュペール、アブリアリス、グロッソなどラバンジンの種類によってかなり差異がある)を含んでいる。
ラベンダーの畑として紹介されている写真は、ほとんどがラバンジンのものである。
ピュアな真正ラベンダー油と称していながら、真正ラベンダーの精油にラバンジン油を混ぜて増量したものは、なかなかGC/MS(ガスクロマトグラフィー/マススペクトロメトリー)で検査しても見分けることは難しいため、この偽和はいちだんとタチが悪い。
◎主要なエステル類
ボルニルアセテート(酢酸ボルニルともいう。以下同様)
ゲラニルアセテート
ラバンズリルアセテート
リナリルアセテート
メンチルアセテート
ミルテニルアセテート
ネリルアセテート
テルペニルアセテート
イソブチルアンゲレート(アンゲリカ酸イソブチル)
ベンジルベンゾエート(ベンジル酸ベンジル)
シトロネリルフォルミエート(蟻酸シトロネリル)
ゲラニルフォルミエート(蟻酸ゲラニル)
メチルサリチレート(サリチル酸メチル)
2013年12月10日火曜日
Ylang ylang / Ilang ilang(イランイラン)|精油を買うときには注意して!① (50音順)
「精油の化学」は12まで続きますが、ちょうど真ん中まできたので、ここらで一休みして気分転換に、精油やエッセンスを買うときに注意しなければならないことをいつくか挙げてみました。このシリーズは50音順で書いていきます。
イランイラン(Cananga odorata)油
精油の化学⑦ ジオン類およびラクトン類
セスキテルペンラクトン類
2013年11月28日木曜日
スウィートオレンジ・ビターオレンジ|精油(およびエッセンス)類を買うときには注意して!②
オレンジ(スウィート)(Citrus sinensis、別名C. aurantium var. sinensis)エッセンス
オレンジ(ビター)(Citrus aurantium ssp. amara)エッセンス
・いずれもオレンジの果皮を圧搾してエッセンスを抽出。
・原産地はインド・東南アジアと考えられる。
現在の主要生産地は、ブラジル、米国フロリダ州・カリフォルニア州、メキシコ、アルゼンチン、インドネシア
・主要成分(%で示す)
成分 スウィートオレンジ ビターオレンジ
リモネン 94〜98 73〜98
ミルセン 1.6 1〜11
α-ピネン 0.4 0.3〜1.4
サビネン 0.4 0
デカノール 0.3 0
1,8-シネオール 0 0.7〜9.0
・微小成分類
クマリン類とソラレン類(ベルガプテン類)がこれらのエッセンスに含まれており、これが光毒性の反応症状を惹起する。この果皮を蒸留して抽出した精油からは、これらの成分はなくなる。これをFCF(フロクマリン フリー)精油と呼ぶ。このオレンジエッセンスと精油とには多量のメトキシフラボン類が含有されており、これが存在することが、これらが天然のものである証拠の一つになる。また、αおよびβ-シネンサールは、やはり微小成分のバレンセン、カリオフィレンといっしょになって、あのオレンジ特有の香気をかたちづくっている。
・これらのエッセンス・精油類の偽和(→偽和について)
圧搾してとったスウィート・ビターの両エッセンス類のリモネン含量は、いずれもおよそ95%である。オレンジ(スウィート・ビター)油を偽和するには、ほかのカンキツ類の果皮から安あがりにとれるさまざまなテルペン類を入れたりする。オレンジエッセンスを偽和するには、蒸留抽出したビターオレンジ油を加えたり、オレンジではないほかのカンキツ類の蒸留精油を添加したりする。とくにスウィートオレンジエッセンスに合成リモネンをたっぷり加える手は、多くの業者がひんぱんにやっている。これがアロマテラピーで効果をあげたらお笑いだ。脱テルペン、脱セスキテルペンして濃縮した「天然」物からほど遠いスウィート・ビターのエッセンスや蒸留したオレンジ油などを加えて増量することもしょっちゅうだ。BHT、BHAのような抗酸化剤を、オレンジエッセンスに入れて、足の速い、つまり酸化しやすいオレンジエッセンスの棚おき期間を長くすることもさかんに行われている。こんな化学物質が人体に害を及ぼすことは目に見えている。また、ベルガモットエッセンスと称して、香りに鈍感な消費者にいろいろなものを入れたオレンジエッセンスを売りつけるタチの悪い業者が多い。スウィートであれビターであれ、オレンジエッセンスを購入する際には、徹底的に販売責任者に疑問点を問い糺(ただ)すこと。
・効果 ー 心身の鎮静効果
ー 消化器官の蠕動(ぜんどう)の力を強化し、その運動の律動性を正常にし、リズムを整える。これはin vivo(生体内)で、イヌを実験動物として用いて判断したもの。
また、モルモットの回腸でテストしたところ、鎮痙作用が認められた。
ー 抗菌作用。これはオレンジエッセンスの濃度などの要素によりさまざまに変化する。試験報告によっても、このエッセンスに抗菌力があることは疑いないが、その効力の強さについて、一定の報告はできない。
ー 抗真菌作用。あまり強くない。
ー その他の作用。フロリダオレンジエッセンスには抗酸化作用は認められない。病人などにこのオレンジエッセンスをスプレーすることで、暗くなりがちな患者に抗うつ作用を発揮する事実がわかった。これは、東京都立のある病院の末期ガン患者にたいして看護師たちが試験的に行ったことで、はっきり確かめられた。
ー その他。各国の薬局方に、乾燥させたオレンジ果皮が記載されている。Citrus aurantium ssp. amara、ビターオレンジは、プエルトリコ人たちが非常によく使う。これは、睡眠障害、胃腸の各種障害、呼吸器系のいろいろな症状を好転させるのに有効であり、また血圧を上昇させる効果も示す。ビターオレンジの干した果皮を利用し、これをラム酒やブランデーに浸してつくるアルコール分40%のキュラソー酒は、薬酒の一種である。
2013年11月21日木曜日
精油の化学⑥ クマリン類
◎クマリン類
・効果① ー 抗凝血作用
② ー 抗痙攣作用
③ ー 血圧降下(降圧)作用
④ ー 反射性興奮の鎮静・減少作用
⑤ ー 神経活動の鎮静作用
⑥ ー 体温低下作用
注意すること
クマリン類の各種フロクマリンには、光毒性があることに注意。光毒性のある精油を皮膚に適用した場合(たとえそれが2%程度に稀釈してあったものでも)、その精油中の成分、ひろく存在する因子はフロクマリンで、その化学的構造からUV〔紫外線〕の光子エネルギーを吸収し蓄える力があり、光があたらなくなったあとになって皮膚に内側からそのエネルギーを放出し、皮膚に発赤〔ほっせき〕を生じさせ、異常な黒色色素の沈着をおこす。このシミはなかなかなおりにくい。しかし、私たちがよく注意しなければならないのは、ベルガモットエッセンス、各種カンキツエッセンス、バーベナ油ぐらいだが、一般に買ってから時間〔たとえば1年とか2年とか〕が経過したものは、何であれ注意しなくてはいけない。以下、そのほか注意したほうがよいものをいくつかあげておく。
◎クマリン類を多量に含む精油類 ー
カンキツ類のエッセンスのうち、ベルガモットはベルガプテンとして含有量は格段に多いが、ほかはさほどでもない。また、カンキツ類の果皮を蒸留してとった文字どおりの精油には、古くなったものはともかくとして、光毒性がない。
ケーラ(Ammi visnaga)油
セリ科の草本ケーラの種子を蒸留して抽出した精油。皮膚への適用は禁忌。
アンジェリカ(Angelica archangelica)油
セリ科の草本アンジェリカの種子を蒸留して得る精油。これは外用してはならない精油(クマリン類とフロクマリン類、たとえばインペラトリン、キサントトキシンのようなものを含有するため)。
セロリ(Apium graveolens)油
セリ科のまだ種子ができていないセロリの全草を蒸留してとる精油。これも外用は禁忌(テルペン類、フタリド類、それにベルガプテンを含むフロクマリン類を含有するため)。
エストラゴン(別名タラゴン)(Artemisia dracunculus)油
キク科のこの草本の花の咲いた全草を蒸留してとる精油(心配するほどではないがクマリン類のエスクレチン、メトキシクマリン類のヘルニアリン、スコパロン、スコポレチンを含んでいる)。
真正ラベンダー(Lavandula angustifolia)油
クマリン類は存在するが、案じるには及ばない(せいぜい0.25%。クマリン0.04%、ヘルニアリン50ppm、ウンベリフェロン、サントニン)。
サントリナ(Santolina chamaecyparissus)油
キク科のこの草本の花の咲いた先端部分を蒸留抽出した精油。クマリン含量は大したことはない。
◎主要なクマリン類
セルリン
フロクマリン
ゲルニアリン
ヘルニアリン
ピラノクマリン
サントニン