2013年12月17日火曜日

精油の化学⑧ エステル類

 ◎エステル類
  ・効果① ー 抗痙攣作用
     ② ー 鎮静作用
     ③ ー 強壮作用
     ④ ー 神経平衡回復作用
     ⑤ ー 不整脈正常化作用

 ◎特徴
  精油類のなかに存在する各種のエステルは、その精油中のアルコール類の量にそれぞれ規則的に対応した分量で含有されている。ここに注意すること。

 ◎エステル類が豊富な精油(エッセンス)類
  ローマンカモミール(Chamaemelum nobile)油
  ビターオレンジ(別名ビガラディアオレンジCitrus aurantium ssp. amara)エッセンス
   ミカン科のこのオレンジの果皮を圧搾(熱を加えない冷搾法で)して抽出したエッセンス。各種のエステルを含んでいる。
  ヘリクリスム(Helichrysum italicum serotinum)油
   キク科のこの草本の花の咲いた先端部分を蒸留してとる精油(アブソリュートを抽出することもある)。この精油はエステル分としてネリルアセテートを75%も含有する。ネリルブチレートも含む。
  真正ラベンダー(Lavandula angustifolia)油
    少なくとも40%、最高で60%ものリナリルアセテートを含む。
   ヨーロッパのAFNOR規格(日本のJAS規格とJIS規格をあわせたようなもの)ではこのリナリルアセテート分が少ないと、ラバンジン油とみなされてしまう。
   日本の秋田県で試験的に植えた真正ラベンダーでも60%ものリナリルアセテートを含んでいた例が報告されている。
  ラバンジン(Lavandula hybrida)油
   真正ラベンダー(L. angustifolia)とスパイクラベンダー(L. spica, L. latifolia)との属間交雑種で、2代めができないラベンダーの一種であるため、すべて挿し木で畑に植える。現在、フランスでは真正ラベンダーは10%ぐらいしか栽培されておらず、それよりずっと育てやすく、収油率もはるかに高いラバンジンが90%も植えられており、真正ラベンダー油の生産量は以前にくらべて、大幅に少なくなってしまった(現在、真正ラベンダーがもっとも多く植栽され、その精油の生産量も世界一なのは、ブルガリアである)。ラバンジンも何種類かあり、リナリルアセテート、ボルニルアセテート、ラバンズリルアセテート、ゲラニルアセテート(それぞれの量はシュペール、アブリアリス、グロッソなどラバンジンの種類によってかなり差異がある)を含んでいる。
ラベンダーの畑として紹介されている写真は、ほとんどがラバンジンのものである。
ピュアな真正ラベンダー油と称していながら、真正ラベンダーの精油にラバンジン油を混ぜて増量したものは、なかなかGC/MS(ガスクロマトグラフィー/マススペクトロメトリー)で検査しても見分けることは難しいため、この偽和はいちだんとタチが悪い。


 ◎主要なエステル類
  ボルニルアセテート(酢酸ボルニルともいう。以下同様)
  ゲラニルアセテート
  ラバンズリルアセテート
  リナリルアセテート
  メンチルアセテート
  ミルテニルアセテート
  ネリルアセテート
  テルペニルアセテート
  イソブチルアンゲレート(アンゲリカ酸イソブチル)
  ベンジルベンゾエート(ベンジル酸ベンジル)
  シトロネリルフォルミエート(蟻酸シトロネリル)
  ゲラニルフォルミエート(蟻酸ゲラニル)
  メチルサリチレート(サリチル酸メチル)

この記事は参考になりましたか?

少しでも参考になればSNSでシェアしてもらうと嬉しいです。
   ↓ ↓ ↓

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

1 件のコメント:

  1. お電話有り難うございます。さっそく読ましていただいております。今後もよろしくお願いいたします。    定禅寺ハーブギャラリー 阿部俊暢、阿部千夏

    返信削除